暑い日が続いています。
「寝るときは、さすがにエアコンを切らないと」
「電気代がもったいないし、体にも悪そうで」
そう思っておられる方は、少なくありません。
けれど、熱中症は夜にも起こります。しかも、眠っている間は自分では気づけません。今日はその理由と、今夜からできることをお伝えします。
なぜ、夜に熱中症が起こるのか
「日が沈めば涼しくなる」というのは、昔の話になりつつあります。
理由1|昼にためた熱が、夜に出てくる

日中、強い日ざしを浴びた壁や屋根、ベランダは、熱をたっぷり吸い込みます。その熱は、日が沈んでからゆっくりと室内に放たれます。
そのため、外の気温が下がっても、部屋の中は暑いままということが起こります。窓を開けても涼しくならないのは、このためです。
理由2|眠っている間は、暑さに気づけない
起きていれば「暑いな」と感じてエアコンをつけられます。けれど眠っている間は、その判断ができません。
さらに、人は寝ている間にコップ1杯分ほどの汗をかくといわれます。水分をとることもできないまま、少しずつ脱水が進んでいきます。
理由3|年齢とともに、暑さを感じにくくなる
これがいちばん見落とされがちなことです。
年齢を重ねると、暑さや寒さを感じる力は少しずつ弱くなります。実際に高齢の方のお宅で室温を測った研究では、ご本人が思っている「暑さ」と、実際の室温が一致しないことが多いと報告されています。
つまり、「そんなに暑くない」と感じていても、部屋は危険な温度になっていることがあるのです。がまん強い方ほど、危ないということでもあります。
「もったいない」を、少しだけ考え直してみませんか
エアコンをつけない理由でいちばん多いのが、電気代です。
もちろん節約は大切です。ただ、冷房を一晩つけたときの電気代は、機種や部屋の広さにもよりますが、多くの場合は数十円ほどにおさまります。缶ジュース1本にも満たないくらいです。
もし「うちはどれくらいかかっているんだろう」と気になる方は、お使いの機種を教えていただければ、おおよその目安をお調べします。数字が分かると、安心して使えるようになります。
今夜からできること
- 寝る前に、部屋を冷やしておく(寝る少し前からつけておくと、寝つきもよくなります)
- タイマーで切らずに、朝までつけておく(切れたあとに室温が上がるのがいちばん危険です)
- 28度を目安に。ただし数字より「暑くないか」を優先
- 枕元に、水を置いておく(起きたときにすぐ飲めるように)
- 風が直接体に当たらないように(風向きを上向きにするか、風よけを)
- 温度計を、目に入るところに置く(感覚に頼らず、数字で確かめられます)
とくに温度計は、ひとつ置いておくだけで安心感が変わります。千円ほどで手に入りますし、湿度も一緒に見られるものがおすすめです。
離れて暮らすご家族の方へ

「エアコンを使ってね」と伝えても、なかなか使ってもらえない——そんなお悩みをよく伺います。実際、高齢のご家族にエアコンの使用をすすめたことがある方のうち、半数以上が「それでも使ってくれない」と感じているという調査もあります。
そんなときは、「もったいないから」を「体のため」に置きかえてお話ししてみてください。
そしてもうひとつ。電話で「暑くない?」と聞いても、ご本人は「大丈夫」と答えられることがほとんどです。 感覚が鈍くなっているからです。
もし可能であれば、
- 温度計を送って、数字を読み上げてもらう
- エアコンがちゃんと動いているかを確認してもらう
- リモコンの設定が変わっていないか見てもらう
このあたりまで踏み込んでいただけると、より安心です。
機械に見守ってもらう、という方法もあります
最近のエアコンには、こんな機能を備えたものがあります。
- 室温が上がると、自動で運転を始める(停止中でも、室温が一定の温度を超えると冷房や送風を開始する「見守り設定」)
- 本体が音声で知らせる(「お部屋の温度が高いので冷房を入れてください」と話しかけてくれる)
- 離れた家族のスマホに通知が届く(室温が31度以上、または15度以下になると知らせる機能など)
- スマホから、運転しているかどうかを確認できる
ただし、こうした機能は今のところ上位の機種を中心に搭載されていて、すべてのエアコンにあるわけではありません。お使いのエアコンに同じような機能があるかどうかは、型番からお調べできます。「実家のエアコンに、そういう機能はついていますか」というご相談も歓迎です。
また、買い替えなくても、「スマートリモコン」という小さな機器を取り付けることで、スマホから操作したり、室温を確認したりできる場合もあります。
伝え方の、ちいさな工夫
見守りの機能を使うとき、ひとつだけ心に留めておいていただきたいことがあります。
「今、エアコンつけてないでしょう」「室温が上がってるからつけて」——そう言われると、見張られているように感じてしまう方もおられます。せっかくの気づかいが、かえって距離を生んでしまうこともあります。
「今日はこのあと暑くなるみたいだから、エアコンつけておいてね」
このくらいの、さりげない伝え方のほうが、すんなり受け取ってもらえることが多いようです。
「エアコンが動いていない」お宅が、実は少なくありません
東京23区で熱中症により亡くなられた方を調べた調査では、屋内で亡くなった方のうちおよそ45%がエアコンを使っておらず、およそ29%はそもそもエアコンが設置されておらず、およそ10%は故障していたと報告されています。
「使わなかった」だけでなく、「使えなかった」お宅が4割近くあるということです。
- 何年も前から効きが悪いまま使っている
- リモコンが壊れて、そのままになっている
- 寝室にはエアコンがない
- 動いてはいるけれど、冷たい風が出ない
こうした状態を、「まだ使えるから」「大ごとにしたくないから」とそのままにされている方は、思っているより多いのです。
気になることがあれば、遠慮なく声をかけてください
エアコンの効きが悪い、変な音がする、寝室にエアコンがない。そんなときは、どうぞお気軽にご相談ください。
「これくらいで呼んでいいのかな」ということこそ、いちばん聞いていただきたいご相談です。
離れて暮らすご家族からの「実家のエアコンを見てほしい」というご依頼も、たくさんいただいています。
なお、めまいや吐き気、いつもと違う様子が見られるときは、迷わず医療機関にご相談ください。判断に迷う場合は、救急安心センター(#7119)でも相談できます。
今年の夏も、みなさまが元気に過ごせますように。

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